
こんにちは、穂苅智哉と申します。
このコラムでは主に、Python を使ったネットワークの自動化をしたいというエンジニアの方向けに、Python とネットワークの自動化についての最新情報やPython とネットワークの自動化基礎検定に関す
る内容を取り上げていきます。
「Python」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?「AI 開発に使われる言語」「機械学習のライブラリが豊富」「データ分析に強い」といった印象を持っているネットワークエンジニアの方も多いのではないでしょうか。確かに、Python は今や人工知能やデータサイエンスの分野で圧倒的な支持を集める言語です。
しかし実はこのPython、ネットワークの自動化という分野でも非常に強力なツールであることをご存知
でしょうか?
今回は、「AI 関連の言語」という枠を超えて、ネットワークエンジニアがPython を使うべき理由、そし
て具体的にどのようなことができるのかをご紹介します。
Pythonで一般的に知られている使われ方
まず、一般的にPython が注目されている分野を整理してみます。
・機械学習/AI開発:TensorFlow、PyTorch といったライブラリでモデル構築が可能
・データ分析:Pandas、NumPy、Matplotlib などで統計解析やグラフ作成に活用
・Webアプリ開発:Django やFlask などのフレームワークでWeb サービスを構築
・スクレイピングや自動処理:BeautifulSoup やSelenium でWeb からの情報収集や操作の自動化
このように、Python は非常に汎用性が高く、ビジネスや研究、教育の現場でも広く使われているマルチパーパスな言語です。その背景には、文法の分かりやすさ、学習コストの低さ、そして膨大なライブラリ群の存在があります。
ただ、ここで見落とされがちなのが「インフラ分野」、特にネットワークエンジニアリングの自動化です。
ネットワーク自動化はPythonで実現できる
ネットワークエンジニアリングに関しては、ネットワークの構成変更、ログ取得、障害時の初期対応など、
日々の業務には多くの定型業務が含まれています。
これらを一つひとつ手動でこなすのは、時間も労力もかかります。エンジニアが足りない現代においては人手を増やすことも難しいですし、そもそも人が対応することによる人的ミスのリスクも無視できません。
ここでPython の出番です。Python ができるネットワーク自動化をいくつか紹介します。
1. CLI操作の自動化(Netmiko)
Cisco やJuniper といった多くのネットワーク機器にSSH で接続し、コマンドを実行できるライブラリ「Netmiko」は、ネットワークエンジニア向けのライブラリです。複数台の機器に一括で設定変更を適用することができます。
2.機器状態の取得・比較(NAPALM)
NAPALM はマルチベンダーに対応した自動化ツールで、機器の状態取得や設定の差分チェック、ロールバックなどもサポートしています。設定内容の標準化や監査対応にも強力な武器になります。ちなみに、NAPALM は、Network Automation and Programmability Abstraction Layer withMultivendor support の略です。
3. APIとの連携
最近ではネットワーク機器側がREST API を備えているケースも増えており、Python でHTTP 通信を行い、設定変更や状態監視が可能です。今後のクラウドインフラ運用を見据えるなら、Python×API の組み合わせは避けて通れません。
4.監視・通知の自動化
ログファイルの解析、通信量の変化検知、しきい値超過時の自動通知といった監視業務も Python でスク
リプト化可能です。Slack 連携やメール通知も数行のコードで実現できます。
ネットワークエンジニアもPythonを学ぶ事によるアドバンテージは大きい
「Python はAI エンジニアやデータサイエンティストのもの」そんな固定観念にとらわれていると、ネットワーク運用の新しい扉を見逃してしまうかもしれません。
特別な開発経験がなくても、Python はネットワークエンジニアにとって十分習得可能な言語です。まずは、1 台のルーターにSSH で接続し、コマンドを実行するところから始めてみてはいかがでしょうか?
Python を使ったネットワーク自動化のスキルを身につけるためには、体系的な学習と実践が必要です。
そこでおすすめなのが、「Python とネットワークの自動化基礎検定」です。この検定は、Python を用いたネットワーク自動化の基礎から応用までを体系的に学ぶための認定試験です。受験することで、実務に役立つスキルを身につけることができ、キャリアアップにもつながります。
この検定試験は、主に配属前から配属3 年目程度のネットワークエンジニアで、ネットワーク自動化の構
築・運用を担当する方が自分の知識を試していただくものになっていますので、基礎部分の理解がしっかりできているかどうかを確認するためにおすすめです。
ご興味のある方は、ぜひこちらのページもご覧ください。
https://network-engineer.jp/pynet_basic
Python とネットワークの自動化基礎検定では、合格体験記を合格者の方に頂いております。これから試
験を受験されたいと思っている方はぜひ参考にしてみてください。