IPv6の現状と、これからの課題

こんにちは、穂苅智哉と申します。

このコラムでは、IPv6についての最新情報や IPv6検定基礎試験に関する内容を取り上げていきます。

今回は、総務省が出しているIPv6の資料を参考に現状とこれからの課題を見ていきます。

参考: https://www.soumu.go.jp/main_content/000813319.pdf

IPv6の海外と日本の状況

まず、IPv6の普及率を確認します。全世界で見ると右肩上がりで普及が進んでいます。その中で、日本は普及率が45.27%と半分以下の状況です。比較対象としていくつかの国を出してみます。アメリカは、日本とほぼ同じで45.88%、一方インドでは64.73%と一番の普及率で、2位がマレーシアの56.85%となりました。

アメリカの動きとしては、2003年には国防総省が購入機器のIPv6対応を義務付けており、そこから2010年代をかけて、国として外部向けシステムも内部向けシステムもIPv6対応を義務付けています。そして2025年末までにはアメリカ政府のネットワークやサービスの最低80%をIPv6シングルスタックにする目標を公表しています。

インドの動きとしては、2010年と2013年のロードマップや2021年の修正から、2022年6月30日までにすべての政府組織がIPv6に完全移行する目標を示しました。その他にも企業や個人の回線としてもIPv6対応とする目標も出して普及率を高めてきています。

一方で、日本の状況も見ていきます。

私たちが使っているモバイルの対応です。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクは、スマートフォンのIPv6対応を開始し、モバイルキャリアから2018年度以降に販売されるスマートフォンのすべてが原則IPv6対応となっています。

また、MVNO(Mobile Virtual Network Operator)サービスもIPv6に貢献しています。MVMOはいわゆる格安SIMの話で出てくる、例えばNTTドコモの回線を借りている事業者が通信サービスを提供するような形態です。

もう1つ資料の中に会ったものが、NTT NGN(Next Generation Network)によるIPv6の増加です。日本では、NTT東と西が「フレッツ光ネクスト」のサービスでNGNを基盤とする加入者向けのデータ通信サービスを開始しているため、ここの普及もIPv6の普及に一役買っている状態です。

IPv6のこれからの課題

現状としてIPv6の利用は増えつつあるものの、一気に増えていかない理由としてはいくつか課題があるからです。

まずは、企業側のメリットが分かりづらいところです。

これは、「今」コストをかけて対応する理由やメリットがあまりなく、すぐの導入を行う判断が難しいため、日本の企業での対応が進みづらいという部分があります。

次は、人材不足です。IPv6というこれからどんどん普及してくる仕組みに対して、プロフェッショナルが少ないのです。主流のIPv4とIPv6は互換性がない別の技術ですので、知識と技術の習得を行う必要がありますがその機会や人材が少ないことは大きな課題です。このままでは、プロフェッショナルではない人材がIPv6の対応を行う事になってしまう状況も考えらるため非効率化や脆弱性を産んでしまう可能性もあります。

最後にあるのは、IPv6対応がされていない機器やサービスがあることです。

IPv6の完全対応がされている機器やサービスがどれくらいあるかというと実は限定的で、不具合が出てしまうケースもまだ可能性としては考えられるという部分があります。

課題としてはいくつもありますが、これらはIPv6の普及とともに解消されていく流れになってくるでしょう。

IPv6の専門知識の取得を評価できる、「IPv6基礎検定」

IPv6の普及が進む中で、IPv6を理解している技術者の高い需要を反映し「IPv6基礎検定」ができました。これは、インフラやIPv6の基礎が理解できているのかを試すための試験で、初級ネットワークエンジニア、ネットワークの運用管理を行う方を主な対象としています。ご自身の能力を確かめる場としてちょうどいいと思いますので、ご活用してみてください。

ご興味のある方は、ぜひこちらのページもご覧ください。

https://network-engineer.jp/ipv6basic

IPv6検定では、合格体験記を合格者の方に頂いております。これから試験を受験されたいと思っている方はぜひ参考にしてみてください。

IPv6検定合格体験記

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